プンチャック・シラットについて

プンチャック・シラットとは、インドネシアを中心とするマレー世界発祥の1000年の歴史を持つ伝統武術であり、大小数百を越える流派が活動しているといわれる。流派によっては、宗教実践や伝統芸能、人生儀礼や年中行事とも深く結びついている。

プンチャック・シラットでは素手・素足での攻撃を基本とするが、短剣や籐の棒などの武器を使う場合もある。また、上半身もしくは下半身のみに特化した動きではなく、身体全体をバランスよく優雅に使うことも特徴のひとつとして挙げられる。

なお、プンチャック・シラットという語彙そのものは、1948年のインドネシア・プンチャック・シラット協会創設時に、民俗的な文脈で使われていたプンチャックとシラットの語を結合したものである。

プンチャック・シラットを学ぶということは、単に技を覚えるのでなく、礼節を知り、体と心を鍛えることを通して、その人らしくよりよい生き方を学ぶことである。基本精神は、「稲の教え(イルム・パディ=実るほど頭を垂れる稲穂かな)」に象徴され、この精神は世界プンチャック・シラット連盟(PERSILAT)が定めるPESILAT(プンチャック・シラット選手)の誓いに継承されている。

Pesilat(プンチャック・シラット選手)の誓い “Ikrar Pesilat”

1. Pesilatは、崇高な精神と品格を備える。
2. Pesilatは、同胞を尊敬し、友愛と平和を愛する。
3. Pesilatは、常に前向きに考え、行動し、創造性と力強さに溢れる。
4. Pesilatは、真実・公正・正義を守り、試練に立ち向かい、誘惑を跳ね返す。
5. Pesilatは、自身の言動に常に責任を持つ。

 

プンチャック・シラットに関する良質な文献は残念ながらまだ邦訳されていないものが多い。日本語でアクセスできる文献としては、初代会長對木氏が著したシンランバ派の解説書の他に、JAPSA会員であった水上浩氏(千葉大学大学院修士 課程修了、故人)により発表された「インドネシアの武術プンチャック・シラットの稽古とことばの役割」が挙げられる。本小論には1998-99年 に彼が文部省派遣奨学生としてガジャマダ大学に留学し、プンチャック・シラットの研究に従事した成果が簡潔にまとめられている。筆者である故水上氏はムルパティ・プティに入門し、MP Level5 Kombinasi Iの段位を取得した。

バライ・インドネシアへの行き方
目黒駅西口より徒歩約15分。 (目黒通りを山手通り方向に直進し、横断歩道橋を過ぎた最初の角にある骨董屋さんを右折、突当りを左折) バス利用の場合は、目黒駅西口より東急バス(どれでも可)に乗り、3つ目のバス停「元競馬場」下車、徒歩2分。